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障害者雇用は「採用」から「配置・育成」へ。STARS(スターズ)が目指す新しい支援とは?

障害者雇用は、これまで「何人採用できるか」「法定雇用率を満たせるか」が注目されやすい分野でした。しかし、2026年7月から民間企業の障害者法定雇用率が2.7%へ引き上げられ、対象となる企業の範囲も広がる中で、これからは採用後の配置・育成・評価まで含めた取り組みがより重要になります。

その流れの中で注目したいのが、マイナビパートナーズが外部企業向けに展開を始めたスキル可視化イベント「STARS」です。STARSは、障害のある社員のスキルを感覚ではなく、実務に近い形で見える化し、配置や育成に活用していく取り組みです。

この記事では、STARSの概要を紹介しながら、障害者雇用がなぜ「採用」だけでは不十分になっているのか、求職者側はどのような企業を選ぶべきなのかを解説します。

この記事でわかること

  • STARSとはどのような取り組みか
  • 障害者雇用で「配置・育成」が重要になっている理由
  • スキル可視化が企業と働く人に与える影響
  • 障害者雇用で応募前に確認したいポイント
  • 採用後に成長できる会社を見極める視点

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STARS(スターズ)とは?障害者雇用のスキルを可視化する取り組み

STARSは、マイナビパートナーズが実施しているスキル可視化イベントです。発表内容によると、複数の実務領域において、スピード・正確性・品質などを横断的に評価し、スキルを定量化・可視化する取り組みとされています。

社内向けには、タイピング、プログラミング、デザイン、軽作業などの競技が行われており、最新回では252名が参加し、延べ335件の競技エントリーがあったとされています。単に順位をつけるイベントではなく、個々の能力を客観的なデータとして把握し、人材配置や育成に活かすことが目的です。

外部企業向けには、自社業務に応じた競技を選択でき、1種目・参加人数1名から導入できるとされています。つまり、大規模な研修制度を持つ企業だけでなく、障害者雇用をこれから整えていきたい企業でも利用しやすい形を目指していると考えられます。

STARSが見ているのは「障害名」ではなく「できること」

障害者雇用では、どうしても障害名や診断名、配慮事項に注目が集まりがちです。もちろん、合理的配慮や体調面の理解は非常に重要です。ただ、それだけでは「その人がどの業務で力を発揮できるのか」までは見えません。

STARSのような取り組みで大切なのは、障害の有無ではなく、実務上の強みや課題を見える化する点です。たとえば、タイピングが速い人、確認作業が得意な人、デザインの感覚がある人、単純作業を丁寧に続けられる人など、得意なことは人によって違います。

これを上司や人事担当者の印象だけで判断すると、本人の能力が見落とされることがあります。逆に、客観的なデータがあると、本人も企業も「どの仕事なら力を出しやすいか」「どの部分を伸ばせば次の業務に挑戦できるか」を話しやすくなります。

なぜ障害者雇用は「採用」だけでは不十分なのか

2026年7月から、民間企業の障害者法定雇用率は2.7%へ引き上げられました。対象となる事業主の範囲も従業員37.5人以上に広がっています。これにより、障害者雇用に新たに取り組む企業や、追加採用を進める企業は増えていく可能性があります。

ただし、求人が増えることと、働きやすい職場が増えることは同じではありません。企業が法定雇用率を意識して採用を急いでも、入社後の業務設計、職場理解、育成体制が整っていなければ、本人にとっても企業にとっても苦しい雇用になってしまいます。

障害者雇用でよく起こるミスマッチには、次のようなものがあります。

  • 採用されたものの、任される仕事がほとんどない
  • 単純作業だけに固定され、スキルアップの機会がない
  • 本人の得意分野と業務内容が合っていない
  • 配慮はあるが、成長や評価の話がされない
  • 上司や現場が障害者雇用を人事任せにしている
  • 本人が何を目指せばよいのかわからない

このような状態では、採用人数だけを増やしても、長く働き続けることは難しくなります。障害者雇用を本当に前に進めるには、「採用した後にどう配置するか」「どのように育成するか」「どのように評価するか」まで考える必要があります。

関連記事:障害者雇用率2.7%で増える求人の落とし穴|小規模企業・未経験企業の見極め方

配置・育成が弱い会社では、障害者雇用が「作業の固定化」になりやすい

障害者雇用で働く人の中には、「最初に任された仕事から何年も変わらない」「簡単な作業しか任せてもらえない」「できることが増えても評価につながらない」と感じる人もいます。

もちろん、安定して同じ業務を続けられることが本人に合っている場合もあります。無理に業務を増やす必要はありません。しかし、本人が成長したいと思っているのに、会社側が最初から「この人にはこの程度の仕事」と決めつけてしまうと、キャリアの幅は狭くなります。

障害者雇用で本当に大切なのは、配慮と期待のバランスです。配慮は必要です。しかし、配慮を理由に挑戦の機会をなくしてしまうと、本人の可能性を閉じることにもなります。

STARSのようにスキルを見える化する取り組みは、この問題に対する一つのヒントになります。本人の得意・不得意を具体的に把握できれば、「この業務なら任せられる」「次はここを練習しよう」「この人はこの分野で伸びるかもしれない」と考えやすくなるからです。

「配慮する」ことと「成長を諦める」ことは違う

障害者雇用では、体調、通院、疲れやすさ、感覚過敏、コミュニケーションの特性など、さまざまな配慮が必要になることがあります。ただし、配慮があるからといって、本人の成長やキャリア形成を考えなくてよいわけではありません。

むしろ、配慮があるからこそ、安心して仕事に取り組める土台ができます。そのうえで、本人の強みを活かせる業務を少しずつ増やしていくことが、障害者雇用の質を高めるポイントです。

「無理をさせない」と「何も任せない」は違います。働く側にとっても、会社にとっても、この違いはとても大きいです。

スキル可視化で変わる企業側のメリット

企業にとって、障害者雇用の難しさの一つは「どの仕事を任せればよいかわからない」という点です。求人票では事務補助、軽作業、データ入力などと書かれていても、実際の現場では細かい業務が多く、本人との相性を見極めるのが難しいことがあります。

スキル可視化が進むと、企業側には次のようなメリットがあります。

1. 配置のミスマッチを減らしやすい

本人のスキルや作業特性が見えると、業務との相性を考えやすくなります。たとえば、スピードはゆっくりでも正確性が高い人は、チェック業務や品質確認に向いているかもしれません。反対に、処理スピードが高い人は、入力作業や定型業務で力を発揮しやすい可能性があります。

もちろん、スキルの数値だけで人を判断するのは危険です。体調、職場環境、人間関係、業務量なども大切です。ただ、何も見えるものがない状態よりは、配置を考える材料が増えます。

2. 上司の主観だけに頼らない評価ができる

障害者雇用では、上司や現場の理解度によって評価が大きく変わってしまうことがあります。本人が努力していても、成果が見えにくい業務だと評価されにくい場合があります。

スキルを可視化すると、上司の印象だけではなく、実際の作業結果や成長の変化を見ながら話し合うことができます。これは、本人にとっても納得感のある評価につながりやすくなります。

3. 育成計画を立てやすくなる

「何となく頑張ってください」では、働く側も何を伸ばせばよいのかわかりません。スキルの現状が見えると、次に練習すること、任せる業務、必要なサポートを具体化しやすくなります。

たとえば、入力作業はできるが確認作業に課題がある場合は、チェックリストを使った訓練が考えられます。デザイン業務に関心がある人には、簡単なバナー作成や資料修正から挑戦してもらうこともできます。

大切なのは、障害者雇用でも「育成する」という視点を持つことです。採用して終わりではなく、入社後にどのように仕事の幅を広げるかが問われます。

働く側にとってのメリットと注意点

STARSのようなスキル可視化の取り組みは、企業側だけでなく、障害者雇用で働く人にとっても意味があります。自分の得意なことが見えると、仕事の選び方やキャリアの考え方が変わるからです。

たとえば、「自分は事務職しかできない」と思っていた人でも、実は資料作成、デザイン、プログラミング補助、データ整理、チェック業務などに強みがあるかもしれません。逆に、苦手な作業が見えることで、無理に合わない業務へ進まない判断もしやすくなります。

ただし、注意点もあります。スキル可視化は便利な一方で、数字だけで人を判断されると苦しくなる可能性があります。体調が悪い日、環境が合わない日、緊張しやすい場面では、本来の力を出せないこともあります。

そのため、スキル可視化は「あなたの価値を決めるもの」ではなく、「働き方を相談するための材料」として使われるべきです。企業がその考え方を持っているかどうかは、応募前や面接時に確認したいポイントです。

応募前に確認したい「配置・育成」のチェックポイント

障害者雇用で求人を見るときは、給与、勤務時間、在宅勤務の有無、通院配慮などに目が行きやすいです。もちろん、それらは非常に大切です。ただ、長く働くことを考えるなら、入社後の配置や育成についても確認しておきたいところです。

応募前や面接時には、次のような点を確認するとよいでしょう。

  • 入社後に担当する業務が具体的に決まっているか
  • 本人の得意・不得意を確認する仕組みがあるか
  • 定期面談で業務量や体調を相談できるか
  • 業務に慣れた後、仕事の幅を広げる機会があるか
  • 評価基準が障害者雇用でも説明されているか
  • 現場の上司と人事の役割分担が明確か
  • 困ったときに相談できる窓口があるか

特に重要なのは、「入社後にどのような成長を想定しているか」です。企業がこの質問にまったく答えられない場合、採用後の育成体制がまだ弱い可能性があります。

一方で、「最初はこの業務から始め、慣れてきたらこの作業にも挑戦できます」「月1回の面談で業務量を調整します」「本人の希望とスキルを見ながら担当業務を広げます」といった説明がある企業は、比較的前向きに検討しやすいでしょう。

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企業がこれから整えるべき障害者雇用の流れ

これから障害者雇用に取り組む企業は、採用活動だけを急ぐのではなく、入社後の流れを先に設計しておく必要があります。採用前に業務内容が曖昧なままだと、入社後に本人も現場も困りやすくなります。

企業側が整えたい流れは、次のようなものです。

1. 業務を棚卸しする

まずは、社内にどのような業務があるのかを整理します。事務補助、データ入力、書類整理、チェック作業、社内便、清掃、資料作成、Web更新、簡単なデザイン、プログラミング補助など、細かく分けて考えることが大切です。

「障害者に任せる仕事がない」と感じている企業でも、実際には切り出せる業務がある場合があります。大きな仕事をそのまま任せるのではなく、工程を分けて考えることがポイントです。

2. 必要なスキルを言語化する

次に、それぞれの業務に必要なスキルを整理します。たとえば、入力スピード、正確性、集中力、報告の頻度、PCスキル、対人対応の有無、納期管理などです。

ここを曖昧にしたまま採用すると、「思っていたより難しい」「本人に合わない」というミスマッチが起きやすくなります。業務ごとに必要な力を言語化することで、採用時にも入社後にも判断しやすくなります。

3. 本人の強みと配慮事項をセットで見る

障害者雇用では、配慮事項だけを聞いて終わるのではなく、本人の強みも同時に確認することが重要です。通院配慮、体調の波、苦手な環境などを確認しつつ、どの作業なら力を発揮しやすいのかを一緒に考える必要があります。

「できないこと」を避けるだけではなく、「できること」を活かす。この視点がないと、障害者雇用は受け身の雇用になりやすくなります。

4. 定期的に振り返り、業務を調整する

入社直後に決めた業務が、ずっと最適とは限りません。本人が成長することもあれば、体調や職場環境によって調整が必要になることもあります。

そのため、定期面談や業務の振り返りを行い、必要に応じて担当業務を見直すことが大切です。スキル可視化の取り組みは、この振り返りを具体的にする材料になります。

しょうなびとして見るポイント:良い会社は「採用後の話」ができる

障害者雇用で応募先を選ぶとき、求人票だけでは会社の本当の姿は見えません。特に、配置・育成・評価の部分は、求人票に詳しく書かれていないことが多いです。

だからこそ、面接や職場見学では「入社後の話」ができるかどうかを見たいところです。良い会社は、採用することだけでなく、入社後にどう働いてもらうか、どのように相談するか、どのように業務を広げるかを考えています。

反対に、注意したいのは「とりあえず雇用率を満たしたい」という雰囲気が強い会社です。仕事内容が曖昧で、配属先も決まっておらず、現場の受け入れ体制も見えない場合は、入社後に苦労する可能性があります。

障害者雇用は、採用されたら終わりではありません。むしろ、入社してからが本番です。働く人にとって大切なのは、「自分がその会社で長く働けるか」「少しずつ成長できるか」「困ったときに相談できるか」です。

応募前に見たい一言

求人票の条件だけで判断せず、「この会社は採用後の配置・育成まで考えているか」を見ておきましょう。障害者雇用で長く働くには、配慮だけでなく、業務設計と成長機会も大切です。

まとめ:障害者雇用は「人数」から「活躍の設計」へ進んでいる

STARSのようなスキル可視化の取り組みは、障害者雇用が新しい段階に入っていることを示しています。これまでのように「採用する」「雇用率を満たす」だけではなく、採用後にどのような仕事を任せ、どのように育成し、どのように評価するかが問われる時代になっています。

障害者雇用で働く人にとっても、これからは「配慮があるか」だけでなく、「自分の強みを見てくれるか」「仕事の幅を広げる機会があるか」「評価や育成の仕組みがあるか」を確認することが大切です。

もちろん、すべての人がキャリアアップを目指さなければならないわけではありません。安定して働くことを優先したい人もいますし、体調を守ることが最優先の人もいます。ただ、その人に合った働き方を考えるためにも、能力や希望を見える化し、本人と企業が話し合える環境は必要です。

障害者雇用は、数を満たすだけの制度ではなく、働く人の可能性をどう活かすかが問われる段階へ進んでいます。求職者も企業も、「採用の入口」だけでなく、「入社後の配置・育成」まで見ていくことが、これからますます重要になるでしょう。

しょうなびでは、障害者雇用で働いた経験のある方の口コミを募集しています。

実際に働いてみて、配慮はあったか、仕事内容は合っていたか、相談しやすかったか。あなたの一言が、これから応募する人の大切な判断材料になります。

FAQ

STARSとは何ですか?

STARSは、マイナビパートナーズが実施しているスキル可視化イベントです。実務に近い競技を通じて、スピード・正確性・品質などを評価し、障害のある人材の配置や育成に活用する取り組みです。

障害者雇用でスキル可視化が必要な理由は何ですか?

障害者雇用では、障害名や配慮事項だけでは本人の得意分野が見えにくいことがあります。スキルを可視化することで、どの業務に向いているか、どの部分を伸ばせるかを具体的に話し合いやすくなります。

求職者はSTARSのような取り組みがある会社を選ぶべきですか?

必ずしもSTARSそのものを導入している必要はありません。ただし、本人の強みを見て配置を考える仕組みや、入社後の育成・面談・評価の仕組みがある会社は、長く働くうえで前向きに検討しやすいでしょう。

障害者雇用で面接時に聞いた方がよいことはありますか?

入社後の業務内容、配属先、相談窓口、定期面談の有無、業務に慣れた後の仕事の広がり、評価基準などを確認するとよいでしょう。求人票だけではわからないため、面接で具体的に聞くことが大切です。

障害者雇用で「配慮」と「育成」は両立できますか?

両立できます。体調や障害特性に配慮しながら、本人の得意な業務を少しずつ広げることは可能です。大切なのは、無理をさせることではなく、本人と相談しながら働き方と成長の方向を決めることです。

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