障害者雇用ガイド

退職後すぐ働けないとき失業保険はどうする?受給期間延長と障害者手帳の給付日数を解説

退職したあと、すぐに働ける状態なら、ハローワークで求職申込みをして、雇用保険の基本手当、いわゆる失業保険の手続きを進めます。

しかし、病気、メンタル不調、けが、通院、体調悪化などで「今すぐ働くのは難しい」という人もいます。この場合、何も知らずに放置してしまうと、本来使えたはずの雇用保険を受け取れなくなる可能性があります。

特に、障害者雇用で働いていた人、精神障害者保健福祉手帳などの障害者手帳を持っている人、退職後すぐ就職活動ができない人は、受給期間延長就職困難者としての給付日数を確認しておくことが大切です。

この記事では、退職後すぐ働けないときに失業保険はどうなるのか、障害者手帳があると給付日数がどう変わる可能性があるのか、ハローワークで確認したいポイントをわかりやすく解説します。

この記事でわかること

  • 退職後すぐ働けないときに失業保険をすぐ受け取れない理由
  • 受給期間延長とは何か
  • 障害者手帳がある人の失業保険の給付日数
  • 「すぐもらえる」と勘違いしやすい注意点
  • 退職後にハローワークへ確認すべきこと

退職後すぐ働けない人は、失業保険をすぐ受け取れないことがある

失業保険は、退職すれば自動的にもらえるお金ではありません。雇用保険の基本手当は、離職後の生活を支えながら、再就職を目指す人のための制度です。

ハローワークでは、基本手当を受けるためには、求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、仕事に就けない状態であることが必要とされています。

そのため、病気やけがのためすぐには就職できないとき、妊娠・出産・育児などですぐ働けないとき、しばらく休養しようと思っているときなどは、基本手当を受けられない場合があります。

つまり、退職後すぐに働けない状態なら、「失業保険を今すぐもらう」よりも、まず受給期間延長を確認する必要があります。

受給期間延長とは?働けるようになるまで受給できる期間を延ばす制度

雇用保険の基本手当には、受け取れる期間があります。原則として、離職した日の翌日から1年間が受給期間です。ただし、病気やけが、妊娠、出産、育児などの理由で30日以上働けない状態が続く場合、その働けない日数分、受給期間を延長できる場合があります。

受給期間延長は、簡単にいうと「今すぐ失業保険をもらう」のではなく、「働ける状態になったあとに受け取れるよう、期限を後ろに延ばす手続き」です。

注意したいのは、延長しても給付日数が増えるわけではないことです。たとえば、所定給付日数が90日の人が受給期間延長をしても、90日分が180日分や4年分に増えるわけではありません。あくまで、受給できる期間を延ばす制度です。

最大4年間まで延長できる場合がある

病気やけがなどで30日以上引き続き働けない場合、基本手当の受給期間を最大4年間まで延長できる場合があります。

これは、4年間ずっと失業保険がもらえるという意味ではありません。働けない期間があるために、もともとの受給期間内に求職活動ができない人のために、受給できる期限を延ばす仕組みです。

退職後、うつ病、適応障害、不安障害、身体の病気、けが、療養などですぐに働けない場合は、離職票が届いた段階で、住所地を管轄するハローワークへ早めに相談しましょう。

障害者手帳がある人は、失業保険の給付日数が長くなる可能性がある

障害者手帳のメリットというと、税金の控除、公共料金や交通機関の割引、障害者雇用への応募などを思い浮かべる人が多いかもしれません。

しかし、退職や転職の場面で大きな意味を持つのが、雇用保険の基本手当です。身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳などを持っている人は、雇用保険の手続きで就職困難者として扱われる場合があります。

就職困難者に該当すると、一般の離職者よりも失業保険の所定給付日数が長くなる可能性があります。障害のある人は、体調、通院、配慮事項、求人の選び方などにより、再就職まで時間がかかることがあります。そのため、給付日数が長く設定されている場合があります。

就職困難者の所定給付日数

ハローワークの案内では、就職困難者の所定給付日数は次のように示されています。

区分被保険者期間1年未満被保険者期間1年以上
45歳未満150日300日
45歳以上65歳未満150日360日

一般の離職者の場合、所定給付日数は多くの場合90日から150日です。そのため、就職困難者として認められるかどうかは、退職後の生活や就職活動の計画に大きく関わります。

ただし「障害者手帳があればすぐもらえる」とは限らない

ここは大切です。障害者手帳があるからといって、失業保険が無条件ですぐ支給されるわけではありません。

基本手当を受けるには、原則として、働く意思と能力があり、求職活動ができる状態である必要があります。退職後すぐに病気やメンタル不調で働けない場合は、たとえ障害者手帳があっても、通常の基本手当をすぐ受け取れないことがあります。

また、自己都合退職の場合は、待期期間や給付制限が関係する場合があります。退職理由、離職票の内容、障害者手帳の有無、現在働ける状態かどうかによって、手続きの流れが変わる可能性があります。

そのため、正確には「障害者手帳があるとすぐもらえる」ではなく、障害者手帳がある人は、就職困難者として給付日数が長くなる可能性がある。ただし、受給できるかどうかや開始時期は状況によって変わると考えるのが安全です。

退職後すぐ働けない人は「受給期間延長」と「就職困難者」を両方確認する

障害者手帳がある人で、退職後すぐ働けない場合は、ハローワークで次の2つを確認することが重要です。

  • 病気や体調不良で働けないため、受給期間延長の対象になるか
  • 障害者手帳により、就職困難者として所定給付日数が長くなるか

この2つは別の話です。受給期間延長は、働けない期間がある人のために、受給できる期限を延ばす制度です。就職困難者の給付日数は、障害などにより再就職が難しい人に対して、所定給付日数が手厚くなる可能性がある制度です。

たとえば、退職直後はうつ病や体調悪化で働けないため受給期間延長を申請し、1年後や2年後に体調が戻って就職活動を始めるタイミングで、障害者手帳を持参して基本手当の手続きを進める、という流れになることがあります。

もちろん、実際の判断はハローワークが行います。自分だけで判断せず、離職票、障害者手帳、診断書の要否などを確認しながら進めましょう。

受給期間延長の申請タイミング

受給期間延長は、病気やけがなどの理由により、30日以上引き続き職業に就くことができなくなった日の翌日以降、早期に申請することが原則です。

離職前から働けない状態が続いている場合は、離職日の翌日から30日経過した日の翌日以降に申請する流れになります。

現在は、延長後の受給期間の最後の日まで申請できる扱いがあります。ただし、申請が遅れると、所定給付日数をすべて受け取れない可能性があります。したがって、「あとでも申請できるから大丈夫」と考えず、退職後すぐ働けないなら早めにハローワークへ相談したほうが安全です。

必要になりやすい書類

受給期間延長や基本手当の手続きでは、状況に応じて次のような書類が必要になることがあります。

  • 離職票
  • 本人確認書類
  • マイナンバー確認書類
  • 写真
  • 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
  • 障害者手帳
  • 受給期間延長申請書
  • 医師の診断書など、働けない理由を確認できる書類

必要書類は、退職理由、病気やけがの状態、求職申込みをしているかどうか、障害者手帳の有無などによって変わる場合があります。必ず、住所地を管轄するハローワークに確認してください。

ハローワークに電話するときの伝え方

体調が悪いときに窓口へ行くのは負担が大きいことがあります。まず電話で確認する場合は、次のように伝えると相談しやすいです。

退職後、病気や体調不良のため、すぐに働ける状態ではありません。雇用保険の基本手当について、受給期間延長の対象になるか確認したいです。また、障害者手帳を持っているため、就職困難者としての所定給付日数についても確認したいです。必要書類と手続きの流れを教えてください。

離職票がまだ届いていない場合でも、先に相談できることがあります。離職日、退職理由、現在の体調、障害者手帳の種類、主治医に診断書を依頼できるかなどをメモしておくと、話が進めやすくなります。

よくある勘違い

障害者手帳があれば、失業保険はすぐもらえますか?

必ずすぐもらえるわけではありません。障害者手帳がある人は、就職困難者として所定給付日数が長くなる可能性があります。ただし、基本手当を受けるには、働く意思と能力があり、求職活動ができる状態であることが原則です。退職後すぐ働けない場合は、受給期間延長を確認しましょう。

受給期間延長をすると、給付日数は増えますか?

増えません。受給期間延長は、給付日数を増やす制度ではなく、受給できる期限を延ばす制度です。給付日数が何日になるかは、年齢、被保険者期間、離職理由、就職困難者に該当するかなどで決まります。

障害者手帳を持っていることをハローワークに伝えたほうがいいですか?

伝えたほうがよいです。障害者手帳を持っている場合、就職困難者として扱われる可能性があります。雇用保険の手続きでは、障害者手帳を持参して確認してもらいましょう。

精神障害者保健福祉手帳でも対象になりますか?

精神障害者保健福祉手帳を持っている人も、就職困難者として扱われる可能性があります。ただし、実際の判断はハローワークが行います。手続き時に手帳を持参して確認してください。

退職してから時間が経っています。もう遅いですか?

まだ申請できる可能性が残っている場合もあります。ただし、申請が遅れると、所定給付日数をすべて受け取れない可能性があります。すぐに住所地を管轄するハローワークへ確認してください。

退職後すぐ働けない人の行動手順

退職後すぐに働けない可能性がある人は、次の順番で動くと整理しやすいです。

  1. 会社から離職票が届くか確認する
  2. 主治医に、今すぐ働ける状態か、療養が必要か確認する
  3. 障害者手帳がある場合は手元に用意する
  4. 住所地を管轄するハローワークに電話する
  5. 受給期間延長の対象になるか確認する
  6. 就職困難者としての所定給付日数を確認する
  7. 診断書など必要書類を確認する
  8. 働ける状態になったら、延長解除や求職申込みを相談する

退職後は、体調、生活費、書類、会社とのやり取りなどで頭がいっぱいになりやすいです。しかし、雇用保険の手続きは期限があります。働けない状態なら無理に就職活動を始める必要はありませんが、制度の確認だけは早めにしておきましょう。

まとめ:障害者手帳がある人は、失業保険の確認を後回しにしない

退職後すぐ働けない場合、失業保険をそのまますぐ受け取れるとは限りません。基本手当は、働く意思と能力があり、求職活動ができる人を対象にした制度だからです。

一方で、病気やけがなどで30日以上働けない場合は、受給期間延長を申請できる可能性があります。これは、働けるようになってから基本手当を受け取るために、受給できる期間を延ばす手続きです。

また、障害者手帳がある人は、就職困難者として扱われ、一般の離職者より失業保険の給付日数が長くなる可能性があります。45歳未満で被保険者期間が1年以上ある場合は300日、45歳以上65歳未満の場合は360日になることもあります。

ただし、障害者手帳があるからといって、無条件ですぐ支給されるわけではありません。退職理由、現在働ける状態かどうか、求職活動ができるかどうか、離職票の内容などによって手続きは変わります。

退職後すぐ働けない人、障害者手帳を持っている人、障害者雇用で働いていて退職を考えている人は、早めにハローワークへ相談してください。知らないまま放置するより、制度を確認して、生活を守りながら次の働き方を考えることが大切です。

参考リンク

-障害者雇用ガイド